米テキサス AIデータセンター建設に宗教者が異議 「被造物の保全」めぐり反対拡大 2026年7月30日

 人工知能(AI)の利用拡大に伴い、巨大データセンターの建設が進む米テキサス州で、キリスト者をはじめとする宗教者や市民が、電力や水資源、地域環境への負荷を理由に反対運動を展開している。米宗教ニュース・サービス(RNS)と地元紙「テキサス・トリビューン」が7月29日付で報じた。

 同州フッド郡では、少なくとも2100エーカー(約850ヘクタール)に及ぶデータセンター計画が浮上。郡の開発委員を務めるマット・ロング氏は4月、市議会の会合で、「自然の美しさを神なき技術施設と交換することは、被造物に近づくことなのか、遠ざかることなのか」と問い、キリスト者に反対運動への参加を呼びかけた。自宅で祈祷会も開いているという。

 テキサス州では現在、少なくとも335のデータセンターが稼働し、248の計画が進行中とされる。AIを動かす大規模施設は大量の電力と冷却水を必要とするため、農村部を中心に、水不足や電気料金の上昇、騒音、光害、農地の喪失を懸念する声が広がっている。反対運動には保守・リベラル双方の住民が加わり、党派を超えた争点となりつつある。

 ただし、信仰を根拠とする反対論は一様ではない。ロング氏らの一部は、ダニエル書やヨハネの黙示録を引き、AIや監視技術の発達を終末論と結び付ける。一方、諸宗教による政策提言団体「テキサス・インパクト」のベッカ・エドワーズ牧師は、水とエネルギーは人間が尊厳ある生活を営むために不可欠だとし、「神が大切にされるように世界を守る」被造物の管理責任を強調した。ユダヤ教やユニテリアン・ユニヴァーサリストの関係者からも、生命の尊厳や環境正義、弱者保護の観点から建設の一時停止を求める声が上がっている。

 一方、共和党のウェイン・クリスチャン州鉄道委員は、印刷機や近代医療と同様、キリスト者は人々の生活を向上させる技術革新を受け入れてきたと反論。「恩恵を受け入れつつ、責任ある建設を確保すべきだ」と主張している。AIそのものへの賛否ではなく、誰が利益を得て、誰が環境負荷を負担するのかが焦点となっている。

 こうした問題意識は、バチカン(ローマ教皇庁)が示してきたAI倫理とも重なる。教理省と文化教育省が2025年に発表した『人工知能と人間知能の関係に関する覚書』は、AIが気候変動対策などに貢献し得る一方、AIモデルとその設備が膨大な電力と水を消費し、二酸化炭素排出や資源の逼迫を招いていると指摘。「クラウド」という言葉が、データ処理を物理世界から切り離された非物質的なものと錯覚させると警告した。

 教皇レオ14世も主要教書『マグニフィカ・ヒューマニタス』で、AIを支えるものは天然資源やエネルギー基盤、目に見えない労働の長い連鎖だと強調。技術基盤やデータが少数の企業に集中することで、新たな格差や搾取を生まないよう規制する必要があると訴えている。

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