創立140周年の矯風会 8・15声明で「戦前回帰」に警鐘 戦争協力の歴史も自省 2026年8月14日

 公益財団法人日本キリスト教婦人矯風会は8月15日を前に、同日付の声明「8月15日にあたり、戦前回帰への動きに抗し、平和と人権を守る働きを推進することを表明します」を公表した。創立140周年を迎えるにあたり、自らが戦争に協力した歴史や植民地主義への加担を十分に自覚できなかった過去を振り返るとともに、現在の政治状況に「戦前回帰」への懸念を表明している。

 声明は、矯風会が平和を願いながらも時流に流され、戦争に加担したことを改めて反省。公娼制度廃止運動に取り組み、朝鮮半島にも支部を持ちながら、日本の植民地下で暮らす人々の苦しみに気付けなかったと振り返った。1947年の復興全国大会では戦争を阻止できなかったことへの悔悟を表明した一方、アジア・太平洋の隣人に対する加害責任の自覚や謝罪にまでは至らなかったとしている。

 その後、1980年代から東南アジアの女性への性搾取や、国籍・在留資格を問わず女性と子どもを受け入れる緊急一時シェルターの運営などを通じて、他国の人々への加害を問い直してきたと説明。1991年以降は日本軍「慰安婦」問題にも取り組み、戦時下の性暴力について、女性を性的対象として支配する現在の性暴力や性搾取と共通する構造を持つと指摘した。

 声明が現在の動きとして問題視したのが、第221回国会で成立した皇室典範等の一部改正、国家情報会議設置法、国旗の損壊等の処罰に関する法律。いずれも「戦前回帰」を想起させるとして強い懸念を示した。3法が同国会で成立したことは衆議院の議案情報でも確認できる。

 特に皇室典範改正をめぐっては、「万世一系」を前提とする考え方や男系による皇位継承を批判。明治以降の天皇制が国家への自己犠牲を促す教育やアジアへの侵略戦争の正当化と結び付いたとの認識を示し、血統や家系を優先する制度は、個人の尊厳と平等を掲げる憲法の理念に反すると訴えた。また、憲法改正によって「戦争ができる国」へ向かう動きが強まっているとして、憲法9条と24条の重要性を強調した。

 矯風会は1886年、東京日本橋教会で「東京婦人矯風会」として発足。禁酒に加え、一夫一婦制や公娼制度廃止など女性の人権をめぐる運動に取り組み、1893年に全国組織となった。現在も平和、性・人権などを柱に活動している。

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