新たに広がる水野源三の世界 召天30年前に写真展や朗読ライブ 2013年5月25日

 幼い日に障害を負い、自力で体を動かせず、口も聞けない中で信仰を持ち、家族に支えられ、詩を中心とした数々の作品を残した、瞬きの詩人として知られる水野源三さんが47歳で召天して、来年で30年を迎える。

 部屋の中から信仰、家族への思い、自然を歌った水野さんの詩作品は本に収められて多くの人の心を打ってきたが、召天30年を経て手に入りづらくなった作品集もあり、読みたいとの声があった。要望を受けて日本キリスト教団出版局では写真(森本二太郎)=写真下=と詩に朗読(中村啓子)CDつきの『私は私らしく生きる 水野源三詩集』を昨年12月に出版、またこれまでの作品を整理し纏めた形で『水野源三精選詩集 わが恵み汝に足れリ』(同出版局)を先頃出版した。それに伴う関連の写真展や、朗読会が開かれるなど、水野さんの世界がまた新たな広がりを見せている。

 教文館ギャラリー・ステラ(東京都中央区)は、森本二太郎・写真展「私は私らしく生きる」水野源三の詩に添えて~を4月12日から同月18日まで開催した。本に収録された写真は48点で、候補の写真は120点ほど用意していたという。森本氏は水野さんについて「9歳まで自然の野山を駆けずり回っていて、思いは純真な形で心の中にあったのではないか。花を絶やさないで身近においてあげたと聞いている。純度の高い触れ合いがあったのでは」と話す。

 また朗読ライブ&ワークショップ「瞬きの詩人・水野源三のこころ~詩を読もう 詩を歌おう~」が4月13日、淀橋教会小原記念チャペル(東京都新宿区)を会場に開催され、久米小百合さん(教会音楽家)の声、井上とも子さんのチェロの音で、水野さんの世界を披露した。久米さんは「命のこと、その重さが歌われている詩を事前に選んでいた。母が開催3日前に召され、水野さんが向き合っていた命についてがひしひしと伝わってきて教えられた」と話す。

 前出の『~わが恵み汝に足れリ』の収録作品の選者は、全国三浦綾子読書会代表で水野研究に取り組んでいる森下辰衛氏。三浦綾子さんがこれまで出版されてきた水野さんの詩集に文章を添えてきた経緯がある。今年9月の同読書会全国大会は水野さんの故郷、長野県の坂城町で開催の計画という。

 両書について同出版局編集課長の伊藤氏は「水野さんを若い人は知らない。先行き不安な時代に、心を打つ言葉が源三さんの詩にある。水野さんは日本のキリスト教会が生んで世界に伝えられる人。作品を是非読んで、出来れば坂城にも行って欲しい」と語る。

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