「ガンダム」の生みの親、漫画家・安彦良和氏が教文館で講演 〝「お天道様が見てる」で十分〟 2019年2月21日

 「機動戦士ガンダム」の生みの親の一人である安彦良和氏(漫画家、アニメーター)による講演会「僕にとっての漫画とキリスト教」が2月2日、銀座・教文館で開かれ、安彦作品のファンら約100人が参加した=写真。教文館が刊行したDVD『手塚治虫の旧約聖書物語 In The Beginning』を記念し、漫画家・アニメーターによる聖書関連作品に加え、特別メッセージや制作秘話を紹介する「漫画とアニメでよみとく聖書の世界展」(1月18日から2月6日)の関連企画として催されたもの。

 キリスト教と縁の深い開拓地、北海道紋別郡遠軽町で生まれ育った安彦氏は、敬虔なクリスチャンだった家族の逸話や、社会福祉の先駆者である留岡幸助が建てた北海道家庭学校など、自身とキリスト教との接点を紹介。「良和」という名前も、平和愛好者だった父が「良く和する」という意味を込めて付けたという。

 世界遺産に登録されたことで長崎が脚光を浴びているが、「殉教という概念が嫌い」と安彦氏。「殉教しなくてもいい人が精神的な強制を受けて死んだのではないかという思いがずっとある」と述べ、3万人以上が死んだと言われる島原の乱についても「理由は何であれ戦争したいと思っている人々が背後にいたことは確か」と指摘した。

 次いで西洋史を描いた『ジャンヌ』『イエス』『我が名はネロ』の三部作について執筆の経緯を振り、「聖書は自宅にあったし、学生時代も手元にあった。『イエス』を描く段でほとんど初めて読んだ。隣人愛こそがキリスト教だという点には異論がないが、ならばなぜ宗教戦争や殉教があるのかと考えてきた。クリスチャンになるために、奇跡を信じる必要があるのかというのが最大の疑問」と吐露。

 自身の宗教観について、無神論だと割り切ることもできないが「〝お天道様が見てる〟で十分ではないか」と表現した。

 当日は同会場で、新刊『安彦良和の戦争と平和』(杉田俊介著、中央公論新社)の先行販売も行われ、サイン会には長蛇の列ができた。

【書評】 『安彦良和の戦争と平和 ガンダム、マンガ、日本』 杉田俊介

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