【訃報】 中村哲さん(医師、ペシャワール会現地代表) 2019年12月4日

 福岡市のNGO「ペシャワール会」現地代表としてアフガニスタンで医療、水源確保、農業支援の活動に尽力してきた医師の中村哲さんが12月4日午前(現地時間)、東部ナンガルハル州の州都ジャララバードを車で移動中に銃撃され、病院で治療を受けたものの間もなく死亡が確認された。NHKが速報で報じた。中村さんは西南学院中学校出身のクリスチャン(日本バプテスト連盟所属)。

 事件の発生を受けて、反政府武装勢力タリバンは声明を発表し、犯行への関与を否定している。

 中村さんは「ペシャワール会」会報の最新号(2019年9月25日付)で、2003年から始めたアフガン東部山村での長期的復興計画「緑の大地計画」の進捗について報告し、「少しずつではありますが、この『緑の大地計画』を範として、農地を回復する動きが本格化しているようです。我々としては東部で唯一ともいえる希望の灯を護ると共に、何とかこの流れを定着させ、祈りをあわせて飢餓の現実に対処したいと思います。重ねて、これまでの長期かつ多大なご支持に感謝申し上げます」と綴っていた。

 なかむら・てつ PMS(ピース・ジャパン・メディカル・サービス)総院長。1946年福岡県生まれ。九州大学医学部卒業。国内の病院勤務を経て、84年パキスタン北西辺境州(現:カイバル・ パクトゥンクワ州)の州都ペシャワールのミッション病院ハンセン病棟に赴任しパキスタン人やアフガン難民のハンセン病治療を始める。 その傍ら難民キャンプでアフガン難民の一般診療に携わる。89年よりアフガニスタン国内へ活動を拡げ、山岳部医療過疎地でハンセン病や結核など貧困層に多い疾患の診療を開始。2000年から、旱魃が厳しくなったアフガニスタンで飲料水・灌漑用井戸事業を始め、03年から農村復興のため大がかりな水利事業に携わる。18年にはアフガン政府から勲章を授与、19年には名誉市民権も授与された。

 著書に『天、共に在り――アフガニスタン三十年の闘い』(NHK出版)、『アフガン・緑の大地計画―伝統に学ぶ潅漑工法と甦る農業』『医者、用水路を拓く――アフガンの大地から世界の虚構に挑む』『辺境で診る 辺境から見る』(いずれも石風社)ほか多数。

西南学院が創立100周年を記念 卒業生の医師・中村哲氏が講演 2016年6月11日

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