第1回聖書ラノベ大賞 連載「17歳の牧師だけど何か質問ある?」完結記念 作者・高山井作さんインタビュー 2020年9月1日

 「キリスト教や聖書の物語をラノベ世代にも分かりやすく伝えたい」との目的で開催された第1回「聖書ラノベ新人賞」で大賞を受賞した「17歳の牧師だけど何か質問ある?」。2020年8月1日付をもって約2年にわたる連載を終えた作者の高山井作さんに改めて話を聞いた。ご愛読の感謝を込めて……。

 高山井作 たかやま・いさく 愛知県出身のクリスチャン2世。クリスチャンホームに育つが、両親の離婚を通して教会を離れ、放蕩生活へ。18歳の時、誘われて再び教会へ。聖書のみ言葉(エレミヤ29:11)に救われ、受洗に至る。二つの神学校を卒業し、教会では児童伝道に携わる。本作は神学校時代に「教会の子どもたちが楽しめるような、キリスト教の読み物がもっと出されるべき!」と熱く語ったところ、先輩に「じゃあ、貴方が書いたら」と言われたことに起因する。

「信じて祈ったら解決した」にしたくなかった

――連載を終えての感想を聞かせてください。

高山 まずは作品を読んでくださった皆さまに感謝申し上げます。長いようであっという間の連載でした。2年半前に聖書ラノベ大賞を受賞し、自分の生み出したキャラクターをイラストレーターの金徳造さんがとてもかわいくイラスト化してくださり、実際に紙面に掲載されたのを見た時には、本当に感激しました。

 それからも、キリスト教書店に寄った時には、つい「キリスト新聞」を確認してニヤニヤしたり、一緒にいた友人に自慢したりしてしまいました。

 この作品を書こうとしたころはちょうど新婚1年目で、実は受賞したころに流産し、初めての子が天に召されるという経験をしました。その1年後にまた妊娠し、無事に出産して今は元気に育ってくれています。

 そんな、嬉しい時も悲しい時もずっと身近にあったこの物語が、このたび、無事連載を完結することができ、本当に感無量です。

 この2年3カ月の連載期間、お付き合いくださった読者の皆さま、校正やレイアウトでお支えくださったスタッフの皆さま、そしてそばで支えてくれた夫、何より私に夢を与え、実現に至らせてくださった神様に、改めて感謝いたします。

――この作品を通して伝えたかったことは何ですか?

高山 まず、『聖書ラノベ新人賞』の募集をネットニュースで知った時、「大賞を受賞した作品が『キリスト新聞』に掲載されるのであれば、これはクリスチャンによって書かれたものであってほしい」と強く思ったのが、私が応募することにしたきっかけでした。

 私自身、教会学校(CS)で教師をしているので、子どもたちに安心して渡せる作品を探していて、はやりのラノベ小説のようなスタイルで、クリスチャンの子どもたちが楽しめる小説があってもいいんじゃないかと思い、いっそのこと自分で書いてみよう! という感じで執筆にかかりました。

 読んでくれる子どもたちに楽しんでもらえるように、お説教っぽくならないよう、信仰を押し付けたり諭すようなものにならないよう、極力注意して書きました。なので、単純に楽しく読んでもらえれば一番なのですが、あえて言うならば、『神を信じていても理不尽なことはある』といったことを、登場人物たちの経験を通して感じてもらえたら、という思いはありました。

 例えば両親の急逝やいじめにあう子の問題、親の離婚など、どうしようもない問題を過去に体験したり、その最中だったりする登場人物がいますが、それらのことは作品の中であまり解決はしないんです。

 神様を信じて祈ったら、そういう問題がすぐ解決した! と書いてしまえば分かりやすいし、それこそファンタジー系ラノベという感じかもしれませんが、現実を生きる私たちのクリスチャン生活で、祈ってすぐその問題が解決するなんて、そんなにないじゃないですか。

 だから、神が安易に登場する物語でなく、そういう実生活の中で目に見えない神を信じて生きていく登場人物の姿を描くことで、現実のクリスチャンがさまざまな人との関わりを通して成長していく時にもいろいろなことがあるよ、それでも信じて歩む中で少しずつ神様を体験していくんだよ、といったところが一番伝えたかったことかもしれません。 

〝いじめにあっていたころの自分が聞きたかった言葉〟

――ご自身で思い入れのあるシーンやキャラクターはありますか?

高山 「……俺はずっと、言いたかったことがある。『お前は生きてるんじゃなくて、生かされてるんだよ! まだ地上でできることがたくさんあるのに、価値がないとか、お前が勝手に決めつけるなよ! お前が、ダメでもアホでも無価値でも、お前をあんなに愛してくれる家族がいるだろ!!!』」

 作品中盤の、いじめでひきこもりになっていた樹太郎に主人公が叫ぶシーンですね。実はこのセリフ、高校時代に自殺を考えてた友人に私が言ったことだったんです。

 もちろん、「ダメでもアホでも……」とかは言わずに、もっと優しく言ったと思いますが。自分自身も高校時代に信仰を持ったので、クリスチャンになったばかりの出来事だったのですが、このことをしばらく後になって振り返った時、「本当はもっと昔、小学生でいじめにあっていたころの自分が聞きたかった言葉だったんだな」と気づいたんです。

 また、自分が救われたきっかけも、ここでよしゅあが語る「あなたは高価で尊い」という旧約聖書のイザヤ書43章4節のみ言葉だったんです。小説を書こうと思った時、このみ言葉は伝えたいなと思っていたので、よしゅあと樹太郎のやりとりを通じてそれを作品として描くことができて、良かったと思っています。

 お気に入りのキャラクターは、主人公の友人の丹波葉一ですね。この名前、気づいてくださっている方はほとんどいないと思いますが、ひっくり返すとヨナタンと読めるようになっています。主人公が牧師で潔癖が求められるという性質に加え、暗い性格なので、学園ラブコメ的な小説としては破綻しそうな中、葉一をはしゃがせることでそれっぽい雰囲気を出しやすく、このキャラクターには非常に助けられました。

――次回作、または今後書いてみたい作品の構想があれば教えてください。

高山 『17歳の牧師だけど~』はたまたま牧師になった主人公が、最終章「牧師やめるってよ」のラストシーン、この先どうなるかはっきりしない形で終わるイメージでいたので、書き始めた当初はあまり続きを考えていなかったんですが、書いてるうちに、もっともっとこの物語を深掘りしていきたくなって、今、頭の中では3部作として完成しています。クリスマスやイースター、主人公の葛藤とか、結局どのヒロインと結ばれるのかとか……。なので、ネットに定期的にアップしていく予定です! ラノベ形式で聖書や信仰の話を書くのはとても面白いので、この作品だけでなく、さらにいろいろ創作していきたいです。「もうちっとだけ続くんじゃ」です。

 これからもどうぞよろしくお願いいたします。

――連載執筆お疲れ様でした。ありがとうございました。

*高山井作さんの作品は以下、「NOVELDAYS」サイトでも読むことができます。

https://novel.daysneo.com/author/jezreeltaro/

【新連載紹介】 聖書ラノベ新人賞 大賞受賞作「17歳の牧師だけど何か質問ある?」が4月からスタート! 2018年4月1日

©金 徳造

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