仏ニースで教会襲撃、3人死亡し首切断も 2020年11月1日

 フランス南部の都市ニースで10月29日、刃物を持ったチュニジア国籍の男がノートルダム教会を襲撃、居合わせた3人が死亡、うち女性1人は頭部を切断された。地元メディアを始め、AFP通信、ロイター通信などによって、事件は即座に全世界に伝えられた。

 現地時間午前9時ごろ、刃物を持った男が教会に、アラビア語で「アラー・アクバル」(神は偉大なり)と叫びながら侵入し、居合わせた管理人の喉を切りつけたほか、年配の女性の首を切断し、さらにもう1人の女性に重傷を負わせた。

 居合わせた女性の1人は付近の飲食店に逃げ込み、息が絶える前に「私の子どもたちに愛していると伝えて」と語ったという。別の女性は、「今まで走ったことがないくらいの全速力で逃げた」と話している。

 教会近くの飲食店で働く男性には「銃声が聞こえた」。現場に駆け付けた警官が容疑者に向けて発砲した音とみられる。この男性は「みんなが教会から走って出てきた。店内はパニックになり、恐怖のため客はお金も払わず逃げていった」と、その時の様子を振り返った。

 現場はショッピングモールや映画館、飲食店が並ぶ商業エリア。事件当時、フランス全土で30日から実施される外出制限措置に備えて、買い物や用事を済ませようとする市民でにぎわっていた。フランスでは、パリ近郊の中学校に勤務する男性教員が首を切られて殺害されたテロ事件から約2週間になったばかり。

 クリスチャン・エストロジ市長は記者団に、管理人と年配の女性はその場で死亡し、もう1人の女性も近くのカフェに逃れた後、息を引き取ったと明らかにした。犯人は警官によって狙撃され、身柄を拘束された後、病院に搬送されたが、生存しているとした。男は拘束後も「アラー・アクバル」と叫び続けていたという。

 エマニュエル・マクロン大統領は、フランスがイスラム主義者のテロ攻撃を受けたと非難した上で、礼拝所や学校など重要施設を警護するため数千人の兵士を増員すると表明。「フランスは、自らの価値観や自由への志向、信仰の自由に対して攻撃を受けた。われわれは自らの立場を一歩も譲るつもりはないと改めて明言する」と述べた。

 ジャン・カステックス首相は、国内のテロ警戒水準を最高に引き上げた。対テロ検察官のジャンフランソワ・リカール氏は、容疑者がチュニジア国籍の1999年生まれの男性で、アフリカからの移民の「玄関口」であるイタリア南部ランペドゥーザ島から9月20日に欧州に入ったという。チュニジア治安当局とフランス警察双方の関係筋は、容疑者の名前をブラヒム・アウイサウイとしている。

 29日はイスラム教の預言者ムハンマドの誕生日に当たり、同教の祝日。フランス当局が風刺画を描いたり掲載する権利を擁護していることに対し、イスラム教徒からの反発が強まっており、イスラム教徒が多数を占める国では反仏デモが起きている。

 教皇フランシスコはバチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿を通し、ニース教区のアンドレ・マルソー司教に、犠牲者を悼むメッセージを送った。その中で教皇は、無実の人々の命を奪った「暴力的なテロ行為」を「力のかぎり」非難。犠牲者の冥福を祈り、遺族の苦しみに心を合わせた。そしてフランスのカトリック共同体とすべてのフランス国民に、自身の寄り添いを伝えると共に、皆の一致を呼びかけた。(CJC)

写真はニース市公式サイトより「犠牲者へのオマージュ」

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