NBUS「憂慮する」会の署名に1万8000筆 「第三極」の試みも CGNTVは「未回答」 2022年9月9日 

 米福音派の指導者らが連名で発表した「ナッシュビル宣言」に基づき、「神のみことばに立ってセクシュアリティを考える」ことを目的とする「性の聖書的理解ネットワーク(NBUS=Network for Biblical Understanding of Sexuality)」が署名を呼び掛けて2カ月。9月9日時点で487名が賛同人として掲載されている。

 一方、この動きに危機感を募らせたキリスト者有志は8月18日、「NBUSを憂慮するキリスト者連絡会」(https://against-nbus.org/)を設立し、「これ以上聖書の名の下で傷つく人が出ない」ことを願い、オンライン署名サイト「Change.org」を介して「LGBTQを変えようとする転向療法(コンバージョンセラピー)を正当化しないで」と訴えた(https://change.org/no_conversion)。賛同人にはLGBTQの当事者を含め、カトリック、プロテスタント、正教会の牧師や信徒らが名を連ねている。立ち上げから1カ月を待たずに、表明された賛同数は1万8000件以上。

 サイトには、「性的指向・性自認は、神から与えられたもの。それを否定することは神への冒涜」「NBUSの主張は、聖書に含まれている極めて多様なメッセージを、その歴史的・社会的文脈から切り離して、自分たちに都合の良い部分のみをつまみ食いし、『聖書的真理』『神の真理』だと言い張る、典型的な原理主義の語り方」「NBUSが言う『変化を助けるお手伝い』とはまさしく性的少数者への暴力であり、その手段に聖書を利用する傲慢さには断固反対するしかない。それは自分の考えを聖書に押し付ける、聖書への暴力でもある」「『この道を行けば~神の名を汚すことになる』などと自分たちがあたかも神を擁護する側にいるかのような主張は、神の前に傲慢」などのコメントが寄せられている。

 NBUSは9月4日、この動きを報じた「クリスチャン新聞」9月4日付について、NBUSのサイトには「転向療法(コンバージョンセラピー)」という文言がないにもかかわらず、当該記事に「『転向療法』への回帰を危惧」とする見出しが付けられたことについて「憂慮する」連絡会の主張をそのまま掲載して「間違った印象」を与えたと抗議。サイト上で公開した意見書には、「『転向療法』を持ち出すのは、人々の恐怖感や不信感をかき混ぜようとするいわゆる『ゲイ・クリスチャン』の典型的な戦略」「(NBUSが)非人道的な療法を推奨するはずもなく、非常に馬鹿げた内容」「フェイクニュースそのもの」などと記した。

 また、この間の紙面についても異議を唱え、「福音派を代表する御社、御紙は、LGBTQに関する一連の報道に関しては聖書的見解が全く含まれておらず、公平・公正をかなぐり捨てて、偏向報道に邁進しておられるように思えてなりません」と非難している。

 これらの「対立」をあくまで日本の「福音派」内の問題として受け止め、「この膠着した状態に身を委ねることが、決して福音主義神学に立つ日本の諸教会にとって益とはならない」とし、「福音主義神学」の立場から「第三極」としての役割を果たしたいと名乗りを上げた団体「ドリームパーティー」(https://dreamparty.church/)が9月3日に発足。発起人に大頭眞一(日本イエス・キリスト教団牧師)、久保木聡(日本ナザレン教団牧師)の両氏、賛同人に藤本満(イムマヌエル綜合伝道団牧師)、水谷潔(日本福音キリスト教会連合協力牧師)、西原智彦(日本バプテスト・バイブル・フェローシップ牧師)、岡谷和作(神学生、トリニティ神学校修士課程在籍)の各氏が名を連ねた。

 同団体は、まずLGBTQの当事者および支援者に対し、「存在を否定する言動」「理想的家族像を過度に強調した」「情欲に溺れる人たちと一括りにした」「数ある罪の中でことさらに強調した」「すべての人が性的な罪を犯しうることを正しく表現してこなかった」「性に関するキリストのあがないを正しく表現してこなかった」「教会の働きと社会の働きを混同した」「良心の自由に土足で踏み込んだ」点についての悔い改めを表明した上で、「共同で研究会議を継続したい」「教会間のネットワークをつくり……ふさわしい教会を案内する」、署名運動をする代わりに「WEBサイトやズーム会議を通して、みなさんの声をお聞きしたい」との提案を掲げている。

 日本CGNTVはNBUS立ち上げの同日、web番組「くりナビ」において同呼びかけ人であるテモテ・コール氏(ファミリー・フォーラム・ジャパン)が出演した「LGBTQについての聖書的見解|クリスチャン・ナビゲーション#89」と題する放送内容を公開した。本紙は8月20日、同局に対し「事実と異なる差別的言説が流布されていることに強い危惧を抱く」としてコメントを求めたが、9月8日時点で「現段階ではまだお返事はできない」との回答しか得られていない。

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