【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】 献金袋は課税対象ですか? 櫻井圀郎

Q.当教会では月定献金は献金袋に入れてささげるという慣例になっていますが、以前、キリスト新聞に「献金袋に課税」というような記事が出ていた記憶があり、どうすべきか悩んでいます。(60代・会計役員)

A.献金ごとに発行する領収書は「営業に関しない金銭の受取証」として非課税です(印紙税法別表1・17号)が、12カ月分を一つにする「献金袋」は数回の受取証明を一つに付け込む「通帳」に当たり、400円の印紙税が課される(同表19号)というのです(国税庁の見解)。

 「印紙税」とは一定の契約書や証明書に課される税金で、税額に相当する収入印紙をその書類に貼って消印することによって納めることが求められていて(印紙税法8条)、それを怠るとその2倍の過怠金が徴収されることになります(同法20条)。

 1人400円でも、教会員100人なら4万円になります。それなら、10年、20年分などを一つにすれば節約できそうですが、印紙税は年度ごとに課せられるというのが国税庁の見解なので変わりません。

 ところで、献金に領収書は必要でしょうか。献金が所得控除の対象とされている国では領収書が必要になりますが、日本では、献金の領収書の使い道はありません。現実の献金袋も受取証明のつもりで使っているのではなく、教会員や教会会計の事実の確認や記録というつもりでしょう。

 それなら、教会の帳簿に正確に記録することで足ります。必要に応じて帳簿の閲覧やコピーを認めてもよいでしょう。領収書が必要なら、月々に発行すれば非課税ですし、年度末に1年分を証明しても非課税です。

 献金袋にシールを貼って返す方式なら、教会内部では有効ですが、対外的には証明書とはいえませんから課税対象外となるでしょう。献金額を覆って貼るなら、他の教会員に献金額を知られないなど個人の秘密の保持にもなり、好都合ではないでしょうか。

 仮に、月々に受領印を押して返していても、年度末に教会が回収して、教会の帳簿とするのなら、本人の通帳ではないので課税対象外です。月々の献金は確認できますし、使い終わった献金袋を持っていても仕方のないものなので、この方法も有用でしょう。

 そのほか、いろいろな方法が考えられますが、教会の実情や教会員の希望にあわせて検討してみてはいかがでしょうか。

*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。

 さくらい・くにお 1947年、三重県生まれ。名古屋大学法学部卒業、同大学院博士課程(民法専攻)、東京基督神学校、米フラー神学大学大学院神学高等研究院(組織神学専攻)、高野山大学大学院(密教学専攻)を修了。日本長老教会神学教師、東京基督教大学特任教授。著書に『日本宣教と天皇制』『異教世界のキリスト教』(いずれもいのちのことば社)、『教会と宗教法人の法律』(キリスト新聞社)ほか多数。

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