マイノリティ宣教センター 入管法改悪に反対で声明 「難民認定制度の是正を」 2023年4月27日

 「出入国管理及び難民認定法」(入管法)をめぐり衆議院法務委員会での審議が山場を迎える中、マイノリティ宣教センター(マッキントッシュ・デイビット、渡邊さゆり共同主事)運営委員会は4月27日、「日本に住む世界各国・地域にルーツがある仲間のいのちを守るために入管法改悪に反対します」とする声明を発表した。

 声明は、難民不認定への異議申し立て、再申請に上限を定める同法案について、「申請に上限を定めることは、難民保護を放棄し、当事者を殺すことにさえつながりかね」ないとの危惧を表明し、「難民認定制度の抜本的改革がなされないままの改定案は廃案とするべき」と主張。

 入管施設に収容された人々が劣悪な環境で不当な扱いを受けてきた実態について、原因、事実の全面開示と、当事者とその遺族への謝罪、難民認定制度の是正を求め、2021年に廃案となった改定案と「ほぼ重複した」同法案は、「より劣悪な入管制度を構築しようとしてい」ると批判した。

 その上で、「国際基準に充分に則した立法に着手」すべきであり、「国籍、人種、ルーツ、性など、各々の異なりで命に格差をつけず、人権が守られ、日本で共に生きることができるようにすることこそが必要」とし、「日本に住む世界各国・地域にルーツがある仲間と共に立ち、座り、食し、そして、命の叫び声に共鳴し共に生きる実践を続け」ると宣言している。

 声明の全文は以下の通り。


日本に住む世界各国・地域にルーツがある仲間のいのちを守るために入管法改悪に反対します

 私たちは日本にあるキリスト教、諸宗派、教派、団体のキリスト者です。

 私たちは、2023年4月13日衆議本会議において主旨説明がなされた後、衆議院法務委員会において審議されている「出入国管理及び難民認定法」(以下、入管法)の改定案に反対します。

 この法案の起点は、在留延長のために難民申請を繰り返す者がいる、送還を忌避する者が治安を乱しているとの偏見にあり、それは差別です。

 日本の難民認定率は他国と比しても著しく低く、国連の人権機関から繰り返し強く勧告を受けています。審議中の法案では、難民不認定への異議申し立て、再申請に上限を定め、3回目以上の申請者を送還可能としています。しかし、これまでにも3回目以降の申請で難民として認定されたケースがあり、申請に上限を定めることは、難民保護を放棄し、当事者を殺すことにさえつながりかねません。難民認定制度の抜本的改革がなされないままの改定案は廃案とするべきです。

 また、入管施設に収容された人々は、劣悪な環境、職員による不当な扱いを受けてきました。死亡事件にまで至っている収容制度とその実態に対し、これにかかわるあらゆる人々が猛省し、原因、事実を全面開示し、当事者とその遺族に誠意を持って謝罪しなければなりません。過去への反省なき新提案は、問題を覆い隠すのみで、改善には至りません。

 改定案では、長期収容問題を解決するための監理制度や、ウクライナ避難民への補完的保護制度を設けるなどとしていますが、それは難民認定制度そのものを是正することによって全て解決できるのです。

 本法案は、2021年に廃案となった改定案とほぼ重複したものであり、この二年間に十分に当事者の意見を聞き立法手続きをすることがなされないまま、より劣悪な入管制度を構築しようとしています。

 これがもし採決されることになれば、尊厳が損なわれ、命の危機に晒される仲間がいます。

 私たちは、審議を尽くさないままの強行採決と法案成立を、決して黙認することはできません。

 日本の政府と国会は、当事者、支援者たちの声を反映し、国際基準に充分に則した立法に着手するべきです。国籍、人種、ルーツ、性など、各々の異なりで命に格差をつけず、人権が守られ、日本で共に生きることができるようにすることこそが必要です。

「寄留者があなたの土地に共に住んでいるなら、彼を虐げてはならない。あなたたちのもとに寄留する者をあなたたちのうちの土地に生まれた者同様に扱い、自分自身のように愛しなさい。」(レビ記19章33-34a)

 私たちは入管法改悪案に反対し、日本に住む世界各国・地域にルーツがある仲間のいのちを守る行動を起こすことを宣言します。

 本宣言に賛同するキリスト教会、キリスト教信仰者は、日本に住む世界各国・地域にルーツがある仲間と共に立ち、座り、食し、そして、命の叫び声に共鳴し共に生きる実践を続けます。

2023年4月27日

マイノリティ宣教センター 運営委員会

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