【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】 観光気分の新来者にどう対応? 山岡三治

Q.由緒ある教会のため、観光気分で訪れるマナーの悪い新来者が多く迷惑しています。何か対策はありますか?(60代・教会役員)

 筆者は乙女峠殉教者礼拝堂(津和野)や山口ザビエル教会などで案内係をしたことがあります。休日の晴れた日などはたくさんの観光客が来ました。騒ぐ人には静かにしてもらえるよう、一人ひとりにできるだけ丁寧に語りかけました。礼拝堂にまつわる物語もしました。ときにはその話に関心を持つ人もいます。

 また、筆者自身が観光客として五島(長崎)の教会群を回ったこともあります。どの教会も静かで美しく、心が洗われた思いがしました。でもその地にも悩みがあるようです。

 ある村人が言うには、「長崎五島が世界遺産になったら困る、島に残る老人だけでは観光客に対応できない」とのこと。観光客の中には、土産売場は、トイレはどこか、食堂は、風呂の用意はないのかなどと要求する人もいるそうです。

 参考のために筆者が見たことのある工夫のいくつかを紹介しましょう。①来会する一人ひとりに小さな紙を渡して、祈りや願いを書いて箱に入れてもらい、後で礼拝やミサでその箱を神さまにささげることにしたり、②教会の入口にヒモをわたして、「これから先は信者や祈る人以外はご遠慮ください」という制限をかけたり、③祈るグループに祭壇(教壇)の近くで祈りの会をもってもらって眺めてもらう、④少し暗めに場所を設定するのも、普段明るい電灯ばかりの生活に慣れている人には、意外性と神秘性を与えるかもしれません。

 せっかく教会に来たのですから、教会堂をよい伝道と証しの機会として効果的に利用したいものです。来客との出会いは、ひょっとするとわたしたちの信仰にも役立つことがあるかもしれません。キリストとの出会いがあるかもしれません。ベネディクト修道院の古来のモットーに、「お客様が来た、キリストが来た」とあるように。

*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。

 やまおか・さんじ 1948年東京生まれ。慶應義塾大学(経済)、東京教育大学(文学)、上智大学(神学·神学研究科)を経てグレゴリアーナ大学(ローマ)で神学博士。アメリカ、中国、イタリア、フランス、広島などでの宣教·司牧経験の後、上智大学神学部教授、学校法人上智学院総務担当理事を歴任。カトリック・イエズス会司祭。

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