ラノベで伝えたい古典のオモシロさ 『ラノベ古事記』著者・小野寺優さんインタビュー 2017年12月25日

 「古事記を現代語訳っていうかラノベ風にしてみた」――そう銘打ったサイトが月間50万PV(ページビュー)を超えるほどの注目を集めている。今年7月に『ラノベ古事記』(KADOKAWA)として書籍化すると、400頁を超えるボリュームながらたちまち3刷を記録。現在もネットで古事記の豆知識などを配信する著者の小野寺優(ゆう)さんは、「難しい」と敬遠されがちな古典の魅力をより多くの人に知ってほしいという情熱に燃えている。

 「ラノベ」とは、中高生以上を主な読者とする軽いタッチの小説=ライトノベルの略称。学生時代はゲームとネットサーフィンざんまいだったという小野寺さんだが、意外にもラノベの読者ではなかった。しかし、2013年にたまたま出合った古事記にどっぷりハマると、それを現代風に翻訳しようと思い立ち、当時人気のあったラノベを読み漁った。翌2014年にはウェブデザイナーとしてのスキルを生かして前述のサイトを立ち上げたが、歴史を学んだ経験も小説を書いた経験も皆無。すべて独学だという。

 数々の偉い先生方による専門書を読み、多くの知識は得られたが、たどり着いた結論は―「『萌え』というものを全くわかっとらん」(あとがき)。

 「〝知識〟として面白い古事記はたくさんありますが、〝エンターテインメント〟としてオモシロい古事記にしないと興味のない人には読んでもらえません」

 自身の経験からも、最初の入り口で「古事記離れ」を起こさせない工夫が不可欠だと考えた。つい数年前まで、ネット上には古事記に関するコンテンツが真面目で専門的なものしかなかった。字が多くて読むのもひと苦労。そもそも、原文はシンプルで事実関係しか書かれていない。いきなり名前の羅列が始まったりする。これでは読まれない。「系譜」でつまずく聖書通読と同じだ。

 「好きになってもらうにはキャラが大事。ラノベ化に際しては、自分の解釈を加えて設定に力を入れました。キャラが立てば(性格の描き分けが明確になれば)感情移入がしやすいんです」

 当初、神道を意識することはなかったが、調べていくうちに宗教としての神道にも興味がわき、御朱印を集めるため各地の神社を回るようにもなったという小野寺さん。一方、クリスマスも祝うし初詣にも行く。結婚式は教会で挙げたし、お葬式は仏教でいいと話す。

 時同じくして、弊社主催の「聖書ラノベ新人賞」も作品を募集中。聖書を広めるために必要なことも伝授してもらった。「最近はラノベすら興味を持ってもらえない可能性があるので、ネットで検索した時に上位に来るような工夫も必要。効率的に読んでもらうためにも、検索して最初に引っかかったものが、若い子たちにも理解できるものであってほしい。あとは広めたいという〝愛〟ですね」

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