【東アジアのリアル】 コロナ禍の韓国教会における礼拝認識の変化 李 恵源 2020年11月1日 

 今年は、コロナ関連の話題を避けることはできないようである。コロナ発生の初期から現在まで、韓国では教会における集団感染が後を絶たず、社会における教会批判が増す中、3月初めにオンライン礼拝が電撃的な形で導入された。それ以来、現在に至っても多くの教会がオンライン礼拝を続けている。

 韓国キリスト教牧会者協議会と韓国キリスト教言論フォーラムが2020年3月29日に実施したアンケート調査の結果を見ると、韓国社会でコロナへの危機感が高まっていた3月当時、韓国教会の61%が礼拝をオンライン礼拝に切り替え、24.2%が対面とオンライン礼拝を併用していたことを確認することができる。

 特に教会員1000名以上の教会のうちの82%がオンライン礼拝に切り替えていた。教会員を対象にした調査結果を見ても、52.2%がオンライン礼拝出席、13.6%が礼拝堂での礼拝出席、13.2%は家庭礼拝、13%は礼拝不参加、3.6%はテレビ放送礼拝の視聴などと回答している。

 その後、教会での対面礼拝が再開されていた7月19日に韓国基督教社会問題研究院(基社研)が実施したアンケート調査のうち、上記3月の調査に関連付けて設けられた問いへの回答を見ると、対面礼拝が再開されたにもかかわらず、39.3%が礼拝堂での礼拝出席、26%がオンライン礼拝出席、18.2%が礼拝不参加、6.9%が家庭礼拝、5.2%がテレビ放送などとの結果となっている。

 注目されるのは、4カ月間のオンライン礼拝の実施後、礼拝堂での礼拝が再開されて以降も、「礼拝不参加」「テレビ放送」と回答した信徒の比率が高まっている点である。これに関して基社研のイ・ミニョン研究員は、「毎週の主日礼拝が持っていた信仰上の意味が弱まっている」結果であると分析している。

 さらに注目すべき点は、7月の調査における他の項目で、オンライン礼拝に対する選好度が高まっていることを示す結果が出ていることである。これは、物理的集合を当然視するキリスト教の伝統的祭儀意識が、少なくとも韓国ではコロナによって揺れ始めていることを意味する。「主日遵守」に関する項目を見ると、3月と7月では明らかに変化しており、これをグラフで見ると下図のようになる。

 コロナ以前にも韓国のキリスト教徒は、テレビやラジオ、ユーチューブなど各種メディアを通して礼拝に参加していたにもかかわらず、礼拝堂での礼拝を固守する傾向が強かった。しかし、コロナによってオンライン礼拝が6カ月以上続く中、次第にオンライン礼拝が一時的な対案や副次的な手段ではなく、新しい宗教的・信仰的活動形態の一つとして浮かび上がりつつある。

 このような中、この先、「礼拝堂での礼拝」以外の方法で礼拝に参加する信徒らの信仰的成熟をどのように図っていくかについて本格的に検討すべき時代を韓国教会は迎えていると言えるであろう。

 い・へうぉん 1980年、ドイツ生まれ。延世大学神学科卒業、香港中文大学大学院修士課程、延世大学大学院および復旦大学大学院博士課程修了。博士(神学、歴史学)。延世大学研究教授、上海大学宗教と中国社会研究所客員研究員。著書に『義和団と韓国キリスト教』(大韓基督教書会)。大阪在住。

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