豪「パイロット牧師」が奥地にクリスマスの祝福届ける 2021年12月24日

 ブロークンヒル(豪ニューサウスウェールズ州)発ロイター通信が、夏を迎えたオーストラリアの奥地にやってくるサンタクロースの移動手段は、単発機「セスナ182」だ、と紹介している。

 「パードレ・デーブ」と呼ばれ親しまれているデービッド・シュリンプトン牧師(57=オーストラリア合同教会)は操縦免許も得て、同州西部の「教区」に散在する牧場や農場の信徒数千人にクリスマスの祝福を与えに行く。2003年以来、国内でも最も交通の不便なコミュニティーのいくつかを飛び回り、「迷える子羊たち」に語りかけ、彼らの声に耳を傾けて来た。

 しかし、オーストラリアが世界で最も厳格な水準の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策を導入してからは、それもほとんど休止した。「パードレ・デーブ」としては、「エッセンシャル・ワーカー」扱いを要求し、22万5000平方キロメートルにわたる地域で年4回実施している訪問スケジュールを維持することもできた。だが彼は、ウイルスを拡散させるリスクを最小限に抑えるため、電話で信徒たちの様子を尋ねる方法を選んだ。

 行動制限が緩和される中で、シュリンプトン牧師はいま再び操縦桿を握ろうとしている。何年にもわたり経験してきた「いつものクリスマス」にできるだけ近い形で信徒たちと交流したいというのが彼の願いだ。牧場主や農場主、学校の生徒、教会に通う真面目な信徒、さらに信仰のない人でも、誰に対してもシュリンプトン牧師は心を寄せている。

 「再び出かけていって、また皆に会えるのは素晴らしい。また学校を訪れて子どもたちの顔を見て、人里離れた土地に暮らす大人たちに再会して、彼らは忘れられていないのだと伝えるのは大きな喜びだ」。ブロークンヒルの自宅に近い小さな空港でロイターの取材に応じたシュリンプトン牧師は、そう語った。

 それぞれパブ1軒しかない数々の町、羊や牛を飼育する牧場、先住民コミュニティー、少数の生徒しかいない学校で構成された緩やかなネットワークにとっては、パンデミックもまた、5年近くにわたる干ばつに続く、相次ぐ逆境の一つにすぎない。

 「このあたりの人の多くは頑健でタフだが、弱いところもある。何人かは干ばつで打ちのめされてしまった」と語るのは、プンカリーという小さな町で何年もシュリンプトン牧師に宿を提供してきた元パブ店主のジョシュ・シアードさん。町の外に立つ看板には「人口84人」とある。だが地元の人は「今はずっと少ない」と教えてくれるだろう。

 プンカリーの公立学校の生徒は5人。自宅のインターネット接続環境は芳しくなく、ロックダウン中はオンラインでの学習や友達付き合いに不自由していた。彼らが年末の表彰式の日をワクワクしながら待っているのは、もっぱら出席する人物ゆえだ。

 「ディスコミュージックをかけて皆で踊る、賞をもらう、お芝居を演じる、といったことは分かっていても、あと数日というときに彼らが口にするのは、『パードレ・デーブはいつ来るの?』という言葉だ」とこの学校のアリソン・キング教頭は語った。

 シュリンプトン牧師は、この2年間、社会的な交流に課せられた制限によって影響を受けたという点では、自分も信徒たちと同じだと述べ、今回の訪問は「よりよい時代、もっと明るい未来」の始まりになるだろうと語った。

 「誰かと一緒にいることを楽しみ、都会を遠く離れた土地に住む人からは、昨年のクリスマスとは違って家族と再会できることを心待ちにしている、という声が届いている」。(CJC)

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