一連の性虐待事件で「謝罪」公表 聖公会京都教区常置委員長名で 2015年7月4日

 日本聖公会元牧師の原田文雄氏が複数の女児に対し継続的に性的虐待を行った事件と、その後の京都教区(高地敬主教)の対応をめぐる問題で、同教区常置委員長の藤原健久氏は5月24日、被害者らへの「謝罪」を公表した。

 常置委員会によると5月6日に開かれた「京都教区・体質改善協議会」に、被害者Aさんの父親と被害者側代理人である鎌田雄輝氏(横浜教区司祭・休職中)が同席し、「自分たちの立場を守ることより、苦しんでいる人に手をさしのべてください」というAさんの訴えが伝えられたという。

 常置委員会はこれらの言葉を「深い懺悔の思い」をもって受け止め、「神と人の前に真実と真理を証しすべきであったのにそれとは反対のことを行い、罪を犯しました。このことを主なる神の前に懺悔し、聖霊の清めと導きを切に祈ります」とし、被害者側代理人の合意のもとで公表するに至った。文書の責任主体は常置委員長だが、内容については主教である高地氏の同意も得ているという。

 常置委員長名による「謝罪」は、1980年代の数年間にわたり複数の女児に対して性暴力が行われたこと、京都教区が原田氏(文中では「H元牧師」)の退職を決定したものの、その後撤回し、牧師に復帰させたこと、Aさんが起こした損賠訴訟で敗訴が確定してもなお、同氏を擁護し、加害の事実を認めなかったことを明記。「事実を隠蔽」し、加害者の側に立ち続けた教区の対応を詫びた。

 また、前主教の武藤六治氏が2001年の段階で、性暴力の具体的な行為を直接聞き、確認していたにもかかわらず、主教交代後も被害の実態と真摯に向き合ってこなかった経緯にも触れ、「07年に被害者側代理人による交渉が始まってからの8年間も、高地主教は事実を隠蔽し、Aさんとお父様からの求めに応じてきませんでした」とし、当時の常置委員がAさんについて「虚言壁がある」など、「被害の訴えを妄想であるとして、被害者への攻撃に加担」したことも認めた。

 10年以上もの長きにわたり、「事件の真実を見つめることをせず、Aさんの求めに対して真摯に、十分に応答して」こなかったことを陳謝し、「これからも『京都事件』への取り組みを、最優先課題と位置づけ、二度とこのようなことが起こらないように防止のための働きにも積極的に取り組んで参ります」と結んでいる。

 

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